【代表が語る】AIと自動化が切り拓くオーダーグッズビジネスの未来像

【代表が語る】AIと自動化が切り拓くオーダーグッズビジネスの未来像 【代表が語る】AIと自動化が切り拓くオーダーグッズビジネスの未来像

現代のオーダーグッズビジネスは、構造的な変革を迫られています。顧客ニーズは「パーソナライズ化」という形で高まる一方、製造現場は「高騰する人件費」「熟練工への依存」「不安定な品質」という課題に追われ、その要求水準に応えきれていません。この課題を克服し、持続的な成長を実現するための鍵こそが、AIと自動化技術の戦略的な融合です。

株式会社イメージ・マジックは、この未来像を提唱し、自社の工場で実践することで、技術とノウハウを蓄積してきました。このページでは、その未来像を提唱する当社代表取締役、山川 誠の「OGBS2025」でのセミナーに基づき、イメージ・マジックが考えるオーダーグッズビジネスの未来図を、具体的な技術と戦略を通じて解説します。

登壇者および企業概要

山川 誠Makoto Yamakawa
現職 株式会社イメージ・マジック 代表取締役社長
設立 1995年5月
主な事業 オンデマンドプリントサービス事業、ソリューション事業
従業員数 501名(パート・アルバイト含む)※2025年8月末時点
沿革 2022年に東証グロース市場へ上場(証券コード:7793)。
2023年には自動化ファクトリー(川越工場)を立ち上げ、AI・自動化技術の積極的な導入を推進。

1. 成長企業の共通戦略と5つの自動化アプローチの定義

成長企業の共通戦略と5つの自動化アプローチの定義 data-src=
「成長企業の共通戦略と5つの自動化アプローチの定義」を見る (2:17)

1.1. 成長企業に共通する戦略:徹底した「省人化と自動化」

私たちがグローバルな市場調査から得た結論は、成長を続ける企業は、「省人化の推進」「自動化の導入」を経営戦略の核としている点です。これは、人件費の削減だけでなく、作業工程の自動化を通じて品質の安定化とコスト削減を同時に実現するアプローチです。私たちは現在、人の作業時間を「1秒=約1円のコスト」と定義し、このムダを徹底的に排除することを進めています。

1.2. 5つの自動化・省人化アプローチ

自動化の実現には、単なる機械の導入だけでは不十分であり、全方位的なアプローチが必要です。私たちは、以下の5つの領域で自動化を推進しています。

  • ソフトウェアによるもの:受注処理、データ処理、印刷工程の自動化システム
  • ハードウェアによるもの:たたみ機、自動梱包機、搬送装置などの物理的自動化
  • 見える化によるもの:監視カメラ、MESシステムによる工程管理の透明化
  • 仕組みや運用変更によるもの:指示書のデジタル化、運用方法の最適化
  • AIによるもの:カスタマーサポート、ナレッジ管理、デザイン最適化

2. 自動化アプローチの実践:ソフトウェアとハードウェアの融合

自動化アプローチの実践:ソフトウェアとハードウェアの融合
「 自動化アプローチの実践:ソフトウェアとハードウェアの融合」を見る (4:15)

2.1. ソフトウェアによる自動化:データ処理の無人化

A. 受注の自動化

Webデザインツール(Web to Print)の開発により、お客様の注文プロセスを自動化。これにより、手作業による受注確認や見積もり工数を大幅に削減し、納期の自動計算も実現しています。

B. 受注データ処理・印刷工程の自動化

お客様が入稿したデザインデータを、人の手を介さず印刷データに自動変換。特に、DTG(Direct to Garment)ではQRコード、DTF(Direct to Film)ではデータ連携を使い、サイズに合わせたレイアウト配置や印刷設定の調整を自動で行い、生産効率を飛躍的に向上させました。

2.2. ハードウェアによる自動化:現場のロボティクス化

製造現場における手作業とムダな移動時間を排除するため、我々は専用の自動機器とロボティクスを導入しました。これにより、人的コストを削減し、生産の安定性を飛躍的に高めることが可能になりました。

ハードウェア
(自動化)
これまでの
課題
自動化
ソリューション
ソリューション
効果
DTGデジタルライン 従来のDTGプリンターでは、「前処理」「プリント前後のパレットへのTシャツ装着・取り外し」「乾燥」と人手が必要。 一体型インラインシステムにより、前処理・プリント・乾燥を一貫で全自動で対応。

【製品情報】

Brother「DIGITAL LINE 2400」
品質の均一化と前処理工程の完全無人化、工程の自動化により、オペレーターの作業量を大幅に軽減し、生産の高速化を実現。淡色ボディであれば1時間170〜180枚、濃色ボディーなら120枚が生産可能。
DTFプリンター+自動XYフィルムカッター DTFフィルムカット時の、人手による非効率なカット作業。位置ズレや歪みの発生、および手動カットによる裁断ミスの多発によるコスト。 たわみセンサーと高度な制御技術により、フィルムの微細な歪みを補正しながら高精度な自動カットを実行。

【製品情報】DTFプリンターXYカッター SAGA 「TM700B」

全自動カットシステムの導入により、フィルムの裁断における手作業による工程(ボトルネック)を完全に解消。高精度な補正機能が裁断ミスをなくすことで、フィルムの歩留まりが向上し、大幅なコストダウンを実現。
AMR(自動搬送ロボット) 工場内の資材や中間製品の搬送における人的移動コスト。 AMRが自律的な経路判断障害物回避能力により搬送を自動化。 人的移動コストと時間のゼロ化を実現。オペレーターは重労働から解放され、より価値の高い業務に専念可能。
自動6面回転プレス機 「DTFフィルムセット」「プレス」「フィルム剥がし」「仕上げプレス」「回収」と作業に人が付きっきりになるため、生産効率が低く、作業者の習熟度により品質のばらつきが発生。 製品セット後に、各工程を自動的に実行する回転プレス機を導入。

【製品情報】自動6回転プレス機(詳細はお問合せください)

人的リソースの解放と生産効率の劇的向上。オペレーターの作業をTシャツセットのみに限定し、プレス工程の人的拘束時間を大幅に削減。品質安定化と同時に生産効率を飛躍的に向上。
自動たたみ仕分け出荷機 たたみ作業の属人化、および出荷先別の手動仕分けによる時間コストの発生。 自動たたみ機構と連携した仕分けコンベアシステムの導入。

【製品情報】自動たたみ仕分け出荷機(詳細はお問合せください)

たたみ作業の人的コストを完全に排除し、後処理工程のボトルネックを解消。システム連携による自動仕分けが誤出荷リスクを最小化し、最終的な出荷までのリードタイムを劇的に短縮。
自動名寄せ機 複数注文品の名寄せにおける人的コストと誤出荷リスク。顧客からの複数アイテム注文に対し、人手で集約・照合・梱包する作業に多大な時間コストとヒューマンエラーのリスクが伴う。 システムからの注文データに基づき、作業者がスキャンした製品を照合し、正しい出荷箱へ自動で誘導・集約。これにより、人が行う煩雑な照合作業を自動でチェック。

【製品情報】自動名寄せ機(詳細はお問合せください)

人が行う煩雑な照合・集約作業をシステムがチェックすることで、誤出荷リスクをほぼゼロに抑制。集約にかかる時間を大幅に短縮し、出荷準備のスピードと信頼性を向上。
梱包出荷機 最終梱包(袋詰め・箱詰め)と送り状発行・貼付の連続作業による時間コスト。 梱包材の供給、製品の封入、送り状の自動発行・貼付を一貫して行う装置。

【製品情報】梱包出荷機

出荷作業時間の飛躍的な短縮。物流後工程における人件費の削減。

2.3. ハードウェアとソフトウェアの連携事例

真の自動化は、ハードウェア単体では成立しません。カメラやセンサーといった機器をソフトウェアと融合させることで、人の手による調整や治具の準備が不要なインテリジェントな製造を実現しました。

ハードウェア・ソフトウェア連携 これまでの
課題
自動化
ソリューション
ソリューション
効果
UVプリンター+カメラ連動システム UVプリンターでの印刷時に、製品の正確な位置合わせのために治具を作成・使用する必要がある。また、印刷範囲外へのインク付着を防ぐためのマスキングテープ貼りが必須となること。 UVプリンター上部に高解像度カメラを搭載し、ランダムに置かれた製品の位置と向きを瞬時に認識・補正。印刷データ自体を製品の位置に合わせてソフトウェアで自動調整。 治具とマスキングの不要化。UVプリントの前工程作業時間を劇的に短縮し、製造の柔軟性を向上。多品種少量生産におけるセットアップ時間を短縮。
レーザー彫刻+ベルト搬送+カメラ 加工材料のセットと取り出しを都度手作業で行う必要があり、連続稼働が中断される。また、ベルト上での材料の微妙な位置ズレによる加工精度のリスク。 加工エリアにベルトコンベア機構を統合し、同時に搭載されたカメラが材料の位置と向きを認識・補正。材料投入から加工、排出までの一連の流れを連続的かつ高精度に自動で処理。 多品種少量生産における段取り替え時間を劇的に短縮し、「置いてすぐ印刷」を実現することで、生産効率を大幅に向上。

2.4. 見える化と運用の最適化

現場で何が起きているかを正確に把握できなければ、継続的な改善は不可能です。データと映像による「見える化」は、トラブルの迅速な特定と、非生産的な時間の排除に不可欠です。

見える化と
運用
これまでの
課題
ソリューション ソリューション
効果
MESシステムによるダウンタイム分析 機械のダウンタイムにおける真の原因(例:材料探し、無駄な移動)の特定。 機械の稼働状況を常時監視し、停止した際の理由を正確に記録・分析。 データに基づいた継続的な生産改善を推進。人が非生産的な作業に費やしている真の原因を特定し、ムダを排除。
監視カメラ連携と高精度トレーサビリティ 数量不足や汚れのクレーム発生時の原因究明にかかる時間とコスト。 高解像度カメラの映像記録と注文データをシステム連携させ、製造工程の履歴を瞬時に確認可能に。 クレームの原因究明時間を数秒へ短縮。不良品発生時の無駄な調査コストを徹底的に削減し、顧客満足度をデータで裏付ける。
仕組み・運用のデジタル化 紙の製造指示書によるミスや情報の遅延。 紙の製造指示書を完全に廃止し、すべての製造指示をデジタルデータに移行。 誤指示・情報伝達ミスのゼロ化。製造指示をシステムで一元管理し、作業者の負担と作業時間を軽減。
著作権チェック 知的財産権(著作権など)に違反する可能性のある入稿。 人の手を介さずにシステムが自動で検知・チェック。 法務リスクの排除。コンプライアンス違反による事業機会損失を防ぎ、安全な商取引を担保。
DTF/DTG運用ルールの最適化 印刷方法の特性に合わせた最適なデータ管理方法の不在。 印刷方法ごとに最適な運用ルール(例:DTFではデータベース運用)を適用。 データ処理と物流の効率を最大化。コスト効率を最大化し、現場の混乱を防止。

3. AI活用によるビジネス変革と市場の未来像

AI活用によるビジネス変革と市場の未来像
「AI活用によるビジネス変革と市場の未来像」を見る (28:59)

3.1. AIによる業務効率化

AIは、製造プロセスの核だけでなく、カスタマーサポートやソフト開発など、広範な業務領域で効率化と変革を牽引します。

AI
機能
これまでの
課題
AI機能による
効果
問合せ対応AI 月間8千件に及ぶカスタマーサポート対応の人的コストと、回答の均一性。 人件費の大幅削減とサポート品質の安定化。オペレーターの負担を軽減。
社内ナレッジAI 熟練工や特定の社員に依存するノウハウ検索の非効率性。 社内の知恵(ノウハウ)をAIが即時検索し、業務の属人化を解消
AIによるソフト開発コーディング ソフトウェア開発の期間とコストの増大(例:2週間かかる開発)。 開発期間を劇的に短縮(例:30分に短縮)。俊敏なシステム更新を可能にし、現場のニーズに迅速に対応。

3.2. AIによる入稿デザインの最適化

AIの最も戦略的な役割は、製造のボトルネックである入稿データの品質問題を根本から解決することです。AIが人のスキルを凌駕し、工場に送るデータの質を自動で担保します。

デザインスキル分布の現状とAIの役割

市場の現状、および当社の分析によると、印刷知識を理解し、完璧なデザインデータを作成できるユーザーはわずか1%〜5%に過ぎません。多くのユーザー層(特に50%〜60%を占める「自分でデザインを作れない層」)は、技術的な複雑さやデータ不備により、オーダーグッズ市場への参加を断念しています。 AIによる最適化は、この大多数の層をターゲットとし、以下に示す各AI機能によって技術的な壁を解消します。

AI
機能
これまでの
課題
AI機能による
効果
AI高解像度化 低解像度画像の印刷品質問題 低解像度画像に対し、アップコンバージョンをかけて、データの棄却率を劇的に低減。データ品質のハードルをAIが肩代わり。
AI線幅・点補正 DTF・シルク印刷における剥がれリスク 印刷に不適格な細線・微細な点を検知し、インクが定着する最適な太さ・サイズに自動修正。不良率を最小化
AI自動塗り足し レイアウト不足による手直しコスト 商品比率に合わないデザインの背景領域をAIが自動で生成・拡張。受注時の修正工数を排除
AI色数判定 シルク印刷の見積もり・調色の複雑性 アンチエイリアスの影響を受けず、真に必要な色数を正確に断定営業コストと見積もり時間の短縮を実現。

3.3. AIが創造するオーダーグッズ市場の「未来像」

AIによるデザインの自動最適化は、オーダーグッズ市場の構造そのものを変革します。スキルの壁を崩壊させることで、これまで満足するデザインが作れなかった9割の層を市場に引き込み、市場規模を劇的に拡大させます。

  • 市場の民主化: AIが「印刷知識」と「デザインスキル」を代替することで、これまで技術的な壁により満足のいくデザインが作れなかった9割の層(既存のセミプロ層や、制作を断念していた潜在層を含む)の参入障壁を解消し、市場への参加を促します。
  • 新規顧客層の創出: 普段パソコンを触らない高齢者小学生でも、良質なグッズが作れるようになれば、市場規模の確実な拡大が見込まれます。

4. AIと自動化を活用したオーダーグッズビジネスの未来像

AIと自動化を活用したオーダーグッズビジネスの未来像
「AIと自動化を活用したオーダーグッズビジネスの未来像」を見る (36:10)

株式会社イメージ・マジックが描く未来像は、AIと自動化技術が事業の根幹を支え、「人が介在するムダを極限まで排除した、製造サービス」です。

私たちは、この未来像を実現するために、自社の工場で実証した「生きたノウハウ」をソリューションとして業界全体に提供しています。

  • 競争優位性:圧倒的なコスト競争力と最短納期。
  • 品質保証:AIによる入稿データ品質の保証と、システムによるトレーサビリティ。
  • 市場貢献:AIによる市場の民主化と新規顧客層の創出。

私たちイメージ・マジックは、ノウハウを、単なるハードウェアやソフトウェアとしてだけでなく、貴社のビジネス課題を解決するためのソリューション全体としてご提供します。DTFプリンターや自動化システムの導入、AIによる入稿プロセス改革など、貴社が目指すオーダーグッズビジネスの未来を実現するため、弊社の経験をぜひご活用ください。

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